休憩室の窓から外を眺めていると、誰かが休憩室に入ってきた。
誰だろうと思って振り返れば、ネコ耳カチューシャをくるくる回すチヒロちゃんが、にこりと私に微笑んで、それを私の頭につけた。
「えっ?!」
「あと、これ持って。それで、校内歩き回ってきてくれる?」
渡されたのはA4より一回り大きめな看板。“萌キュン喫茶”と書いてある。
「宣伝ならただ歩いてるだけだから緊張しないでしょ? ホントはタカジにダメだって言われてるんだけど……せっかくの文化祭だし、何かしたいじゃん?」
ごめんね、と、ありがとう、を言った私は静かに教室もとい喫茶店をあとにした。
廊下はもう人だらけ。人の波にのまれるってこんな感じ何だと思う。
言われた通りに校内を歩き回る。もちろん、走らなかったし迷った人にちゃんと行き方も教えてあげた。
大丈夫。今日は笑われるようなことなんて一つもしてない。
秋晴れの窓の外に視線をやり、窓の鍵に手を伸ばした。
開いたそれを左にやれば、秋の風が私を包み込む。そろそろそこの木が紅葉しそう。
風に踊る髪の毛を押さえたのと同時に「すみませんっ」と声が聞こえた。振り返ると、そこには黒髪の男の子3人。制服が違う。ここの学校の生徒じゃない。
「どっか遊びに行かない?」

