薄いベニヤ板で造られたこの休憩室のスペースから、廊下のざわざわが聞こえる。
梨海ちゃんに教えてもらったおかげで、私が“無我夢中で走るメイド”って付けられたのは分かったけど。
どうしてあんなに人がいるの?
“無我夢中で走るメイド”というネーミングされてしまった私を物珍しく見るため?
「……私を笑うために来てるんだね……」
そう小さく呟いた私に間髪入れずに「は?」と梨海ちゃんが眉を寄せた。
「だってそうでしょ? 無我夢中で走る面白そうなメイドがいるっていうから、あんなに集まってるんでしょ?」
「はあ。違うわよ。 無我夢中で走るメイドなんて大して面白くもないじゃない」
まだ分かんないの? と肩を竦める梨海ちゃんは私を指差して、それを上から下に動かした。
「無我夢中に走るメイドがノーメイクなのに滅多に遭遇しないほどめちゃくちゃ可愛かったから」
そうに決まってるじゃない、と梨海ちゃんは口元に笑みを浮かべながら首を傾げる。
決まってるじゃないって……いつ誰がそんなこと決めたのっ?!

