「七瀬か?」
携帯の画面をじっと見たまま呆然としている私を見てなのか、それとも、電話に出たのに黙っている時間が多かったのか。
とりあえず電話の相手を言い当てた岩佐先輩は「早く行け」と紫煙を吐き出した。
「ありがとうございました」
と小さく頭を下げてから屋上を出た私は急ぎ足で自分の教室へと向かう。
途中途中で指を差されたことで自分がメイド姿だったことを思い出し赤面しながら走ったのは今までで一番恥ずかしいことだった。
茹でタコになりながら戻ってきた教室は、人!人!人!!
メイド姿の女の子も執事姿の男の子もあっち行ったりこっち来たりでてんてこ舞い状態。
「ありがとうございましたあ〜。――あ! 優衣っ! 遅い!」
中から廊下に出てきたハイテンションな梨海ちゃんに捕まった。
「ご、ごめんね? あの……どうしてこんなにいるの?」
「そんなのあたしが知ってるわけないじゃない。とりあえず、中手伝っ――」
「あ! あの子だっ!」
梨海ちゃんを遮って飛んできたのは男の子の声。
誰を探してるのかな、と思っていたら、なぜか、私の腕をがしりと掴んだ。
「無我夢中で走るメイド!」

