他にやりたいことがあるならやればいい、そう言って微笑んだ梨海ちゃんは、
「やりたくないことをやるくらいならいっそのこと全てを捨てて新しいことに挑戦するのも悪くないわよ」
私の頭を優しく撫でた。
パチンパチンと新鮮な音を奏でる梨海ちゃんの姿はさっきまで神崎先輩に突っ掛かってた姿が想像出来ないほど、大人っぽくて色っぽい。
綺麗に整えられているお庭の小さな池にはまん丸お月様がぽっかりと浮かんでいる。
音を立てないように立ち上がり縁側に腰を下ろした。
さわさわと夏の太陽を浴びて青々と育った葉っぱが擦れ合い、遅れて生ぬるい夏の風が私の頬を撫でていくのが気持ちいい。
……そういえば、神崎先輩なんで私がいるところ分かったんだろ……。
それに、どうして私なんかのためにあんなに必死になって探してくれたのかな。
「なに考えてるの?」
いつのまにか私の隣に座った着物のキレイなオネエサンは優しい微笑みを湛えている。
「どうして神崎先輩は必死に私を探してくれて、どうして私がいるところが分かったのかなって……」
小さい星が無数に輝く空を見上げた。

