マジックストーン


 こことは別にご両親と住むお家はあるんだけど、学校からは遠いらしい。けれど、だいたいご実家の方に帰ってるみたい。

「なんだかもったいないですね」

「え? そう? ――ごめん、緑茶しかなかった」

 透き通る液体がゆらゆら揺れる。それが入った綺麗なグラスを2つテーブルに置いた。

「ありがとうございます。 だって、こんなに綺麗なお家があるのに住まないなんて、お金ばらまいてるのと変わらないと思いません?」

 胃に落ちた透き通る液体は冷たい。

 「そうかな?」と首をかしげる神崎先輩は「そろそろかな」とデジタル時計へ視線をやった。

「何がですか?」

「ん? 内緒」

 にっと白い歯を見せて笑う神崎先輩は、すっと動いて私の額に唇を押し付け――

 ――ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン!!!!!!

「――っ?! かっ神崎先輩っ?!」

「ダイジョブ。 ――開いてるよー」

 玄関に向かって叫べば、ダダダダッと音が聞こえ、バアンと扉が開いた。