やっぱり、と言っていいものか分からないけれど、瞳に光がなく固く口を結んでいて無表情。
見たことがないくらい冷たい表情の神崎先輩は、はっとして私を腕の中へ導いた。
私でも振りほどけるくらい腕の力は弱い。けれど、それをほどいてしまったら神崎先輩を傷つけてしまいそうで。 でも、どうしてそんなことを思うのか分からなくて。
身じろぎもせずただじっと俯いて目を閉じていた。
「優衣ちゃんごめんね?ちょっとお願いがあるんだ」と、しばらくして口を開いた神崎先輩は私の後ろ頭を優しく撫でる。
「あそこには近づかないで」
あそこ――加賀美さんと会った場所のこと、かな? でも、どうして?お友達なんじゃ……。
「それから。もし、敦司と会うようなことがあったら、必ず俺に連絡して。絶対に1人で会わないでほしい」
神崎先輩……。どうしてそんなに必死なんですか……?
「俺と連絡が取れないなら、啓輔に――」
「神崎先輩っ……」
思わず叫んだ私は神崎先輩の胸元のほんのり柔軟剤の香りのするTシャツを握り締めた。
「……落ち着いて、ください……」
長く深いため息をついた神崎先輩は一度ぎゅっと私を抱きしめる。「すきだよ」と呟きながら。

