「……べっ、別に私はっ……」
「え? 優衣ちゃん俺のこと呼んでくれたじゃん。まあ『頑張って』が抜けてたけど、『神崎先輩っ』って聞こえたよ?」
「……っ!!」
いや、その、あれはっ……。
何ていうか……スランプから抜け出せそうだったから、だからお礼がいいたくて……。
「とりあえず、優衣が嫌がってるので散ってください」
「えー。まだ梨海ちゃん俺のこと信じてくれてないのー?困っちゃうなー」
全然困っているように聞こえない神崎先輩の声音はなんだか弾んでいる。
ぶちっと斜め上から聞こえてきたのは間違いじゃない、よね?
「優衣行くわよ」
すたすたと闊歩する梨海ちゃんに連れられ一生懸命脚を動かす。
この際「どこに?」なんて聞いたら「愚問よ」って返ってくるよね、うん。と、とりあえず体育館から校舎には入ったけど……。
ホントどこ行くんだ――
――ボフッ
「きゃっ! ……あっ、梨海ちゃんごめ――」
「なんなのよ」
前を歩いていた梨海ちゃんが止まったのに気付かなかった私は見事に背中にぶつかった。
は、鼻がっ……。

