もしかしたら、私はどうしても神崎先輩に優勝してもらいたかったのかも。
だって、そうすればその時お礼にピアノを聞かせられるかもしれないもの。
今の神崎先輩みたいにキラキラした私の姿を見てもらいたい。
「優衣って物好きよね」
不意に聞こえた声に「えっ?」と問い返せば「だってねえ?」と呆れたような声を上げた。
「ほら、ちゃんと見てなさいよ。あたしたちのクラスが負けるのを」
ふふっと上品な笑みを溢す梨海ちゃんは神崎先輩を指差す。
ちょうど神崎先輩が放ったボールがゴールに入ったところでブザーが鳴った。
『キャァァァアア!!』
『かっこいーっ』
黄色い声が上がる中神崎先輩は「ゆいーっ」と両手を広げて走り寄ってくる。
抱きつかれるっ、と瞬時に覚った私は梨海ちゃんの背に隠れた。
「さすが優勝候補ですね」
温かくも優しくもない梨海ちゃんの声に神崎先輩はにっこりと微笑む。
「ここで負けたら優衣ちゃんとデート出来ないからねぇ〜」
「そうでしょ?優衣ちゃん」って話を振られても困るんですけどーっ。

