マジックストーン


 呆然と神崎先輩を眺めていればかちりと目が合い、にこりと微笑んで“ゆい”と口が動いた。

「………っ!」

 すぐ勇先輩に背中を叩かれ再びプレーに戻った神崎先輩は何度も何度もスリーポイントシュートを決める。

 それでもタカジくんたちはまだ諦めている様子はなくて、必死に動いている。

 負けじとスリーポイントを決めるタカジくん。

 それに追い抜かれないように、でも焦った様子を見せずにスリーポイントを決める神崎先輩。

 運動音痴な私だって分かる。

 神崎先輩も勇先輩もタカジくんも、苦しそうに顔を歪ませたりしてるけど、すごくすごくキラキラしてる。

「楽しいからキラキラしてるのかなあ?」

 不意に口から出た言葉に梨海ちゃんは、

「楽しかったり好きじゃなかったらキラキラしたり、一生懸命になったりしないんじゃない?」

 と優しく答えてくれた。

 ……そっか。

 私もピアノを楽しんでもっともっと好きになれば、また思ったように弾けるかな……?

 バンバンバンバン、と左右にドリブルをするタカジくんの前には神崎先輩。

 ちらりと点数を見れば2点差で私たちのクラスが負けている。

 タカジくんが神崎先輩を抜こうと動いた時。

「――神崎先輩っ」

 自然と私は神崎先輩を呼んでいた。