「ほな行くで神崎」
「はーい」
元気良く返事をした神崎先輩はそのまま勇先輩に付いていくんだと思ったら、私の目の前に来てにっこり。
「『頑張ってね、ちゅっ』は?」
黄色い声が上がるほどの笑顔を浮かべた神崎先輩は、膝に手を付いて私と視線を合わせる。
……気のせいでしょうか?『頑張ってね』の『ね』にハートが舞ってるような……。
「ひっ……」
そそそ、そんなに顔近付けないでくださいぃぃぃいいっ!!
慌てて一歩後ろに下がりながら俯けば、神崎先輩は「けちだなあ」なんて言って私の頭をぽんぽんと撫でる。
「絶対勝つね? ……あっ!優勝したら、ご褒美で俺とデートだから」
そう耳元で囁いてから神崎先輩は踵を返し勇先輩を追い掛けるその背中を、少し顔を上げて見た。
神崎先輩なら勝てる。だけど、デートはちょっとなあ……。
だって、前みたいに並んでる人なんかお構いなしにお店に入ってケーキ買って来ちゃうような人なんだもん。
……でも――
「優衣ぃー?始まるわよ?」
――ちょっとお話はしてみたい、かも?

