マジックストーン


「………あっ、いや、その……。
……俺、ここにいていいの?」

 たどたどしく、でも耳まで赤くしてそう聞く神崎先輩がなんだか可愛くて。

「隣にいてもらえると嬉しいです」

 思わず笑ってしまえば「かわいーなあ、優衣ちゃんは」と頭をわしゃわしゃされた。

「かっ神崎先輩っ」

「やっぱりさ、俺のこと好きになったんでしょ?」

「ちっ違いますっ」

「もーう! 可愛いんだからっ」

 にこにこしながら私の頭をかき回す神崎先輩は、まるで子供みたい。

 お兄ちゃんがいたらこんな感じなのかな、と思っていたら。

 ぴたり、と。急に手を止めた神崎先輩は、打って変わって真剣な顔をして私を見ていた。

「……ねぇ、優衣ちゃん……」

「………は、い……?」

 切なそうな、そんな瞳を向けたかと思うと、一転して私の額にキスを落とす。

 そろそろ寝ないとまた倒れちゃうね、そう言って私の乱れた髪をすきながら、リズムよく優しく私の頭を撫でる。

 心地よいリズムにまどろみ、深い眠りに誘われた時。

「俺はずっと隣にいたいよ」

 そんな甘い声が聞こえた気がした。