「………先輩授業はどうしたんですか?」
「俺、頭いーから大丈夫」
「えっ……でも……」
頭が良いからって授業出なくていいっていうのはちょっと違う気がするんですけど。
それでも神崎先輩は「今は優衣ちゃんの方が心配」と額にキスを落とした。
「……あっ! 優衣ちゃん何か飲む?」
「あ、はい……」
「じゃあ俺買ってくるから、安静にしててよ?」と保健室を飛び出した………のもつかの間。
「お茶とミネラルウォーター、どっちがいい?」
「………お茶、が良いです……」
はいどーぞ、と渡されたそれの蓋はすでに緩められていて。
神崎先輩のさりげない優しさを見た、気がした。
「ありがとうございます。……神崎先輩って優しいんですね」
「おっとー? もしかして、惚れた?」
「そっ、そんなわけないですっ」
またまた〜、とクスクス笑う神崎先輩。
「さ、お茶飲んだらもう少し寝よっか」
「………はい」
神崎先輩は授業に戻るよね……?
どうしちゃったんだろ……ひとりで寝るのが、もの凄く、寂しく感じる。

