「あ、俺、これから用事あって保健室(ここ)開けるけど、あとは神崎に任せるから。安静にしてろ」
「……はい」
いまだにどうして自分が保健室にいるのかさえ、理解出来ないまま静かに呟いた私を確認してから、石谷先生はカーテンの外に行った。
頬を触れば少し温かくて、なんとなく頭が痛い気がするし、そういえば喉も渇いてる。
保健室のドアが開閉する音が聞こえたのと同時に、再びカーテンが開いた。
「どう?体調の方は」
優しい笑みを携える神崎先輩は、私の頭を撫でながら優しい口調で言う。
「……まだ、体が重い…です。 ……あのっ、神崎先輩……?」
「んー?」
「私、どうして保健室に……?」
「疲労と熱中症のダブルパンチ」
にこっと音が出そうなほど微笑んだ神崎先輩に私はだんだんと記憶が蘇る。
「………私、もしかして……」
「そう。俺が話し掛けたらぶっ倒れたんだから。あーびっくりしたー」
さほど驚いて見えないのは、もう神崎先輩の性格の所為。
ふと、時計を見たのがきっかけだったんだと思う。

