ほんっと、羨ましいな。
「キモい、やめれ」
棒読みなセリフを放った翼は、困ったように頭を掻く。
「いつまでも毒舌吐いてると、そのうち愛想尽かされるよ」
「知るか。
んなもん…」
あれ?
なんか胸の奥がムズムズする。
「あっはは♪
変わってないねー」
楽しそうに話してるのを見てると、苦しくなる心。
「おまえだって変わってねぇじゃん」
そこには、あたしの知らない翼がいた。
嬉しそうに、無邪気に笑う、そんな翼がいた。
“好き”っていう気持ちって、
こんなに辛かったんだっけ?
ヤキモチなんか嫌。
なのに、消えなくて。
「あっ、やっと見つけた〜」
「…………」
「え、ちょっ、みくるちゃん?」
ちょうど今、目の前に現れた太陽を無視して教室へ向かおうとした。


