「ふ〜ん、みくるちゃんって言うんだあ」
教室に向かって歩き出そうとした瞬間、耳をついた声。
「みくるちゃんはいいの?
そのまま教室行ったら、歩夢と理基に捕まっちゃうかもよ」
あ、そうだ。
逃げて来たんだっけ、ここまで。
「それにぃ、私が翼をもらっちゃうかも〜」
もらっちゃう?
そんなの嫌。
「何が言いたいわけ?
翼はあんたなんかに、あげないもん」
ついムキになった。
バカだよね、ホント。
「あはっ♪
やっぱりぃ〜!
みくるちゃんって翼の彼女でしょ?
あたし芽咲!
後藤芽咲」
「え………?」
急に人が変わったみたいに、芽咲さんは笑顔になった。
「だって、あげないって、それ告白じゃあん」
は?!


