「え?誰?」
太陽が出した名前に、妙に反応した。
翼は一瞬、苦笑い。
「ん〜?
歩夢だよ、あの昇降口でケンカしてた小さい───」
「あのチビに言っとけ。
覚悟しとけ、って」
言葉を遮って、翼が言ったと同時。
「木崎さーん」
「みくるー!」
あたしを呼ぶ声が聞こえたのは気のせい?
しかも、どっかで聞いたような………。
「まま.ま.まさか〜っ!」
隣では焦り始める太陽。
「え?なに?何なの?」
そうこうしてるうちに、ドタバタと騒がしい音がしてきた。
誰か走ってる?
「キャーー♪」
廊下からは女子の騒ぐ声。
「ねぇ太陽、なに?
何が起きてんの?
ねぇ翼?」
2人に聞いてはみるものの、黙りこくって答えてくれない。
───バ-ンッ
勢いよく開かれた教室のドアは、周囲の声より更に大きな音を立てた。


