言われた言葉に、反射的に視線を向けた。
なんで、あたしの名前知ってんの?
「俺のこと、覚えてます?」
視線の先で微笑むのは、あたしより少しだけ背の高い男の子。
同い年、かなぁ?
でも友達にいたっけ?
こんなコ。
「すみません、覚えてないですよね」
申し訳なさそうに謝ってくる。
礼儀正しそうな人だなぁ。
「そんな、大丈夫だよ。
で、えっと‥どちら様?」
忘れてるなんて、失礼かな?
って、思ったけど、下手な嘘は付きたくないから素直に聞いた。
尋ねると、更に笑顔になって返事をくれる。
「鳴神理基(ナルカミ リキ)。
海風高校の1年です」
海風高校?
「あたしたち、どっかで会ったっけ?」


