「あなたに…っ、説得なんてされたくありません!」
「高原さん………」
泣いてる。
暗くて、今までわからなかったけど。
「あなたに、私の気持ちなんてわかるはずないのにっ」
怒鳴り声が、かすかに震えていて。
「もし本当にわかるなら……私の気持ちがわかるなら、返して」
涙声に変わったところで、美弥薇は両手で顔を隠してその場に崩れた。
「私の大切な人を、返して」
か細い声。
波に消されないように、しゃがみ込んで美弥薇と合わせた視線の高さ。
「仁を、奪わないで」
その時、やっと理解できた自分の行動。
あたしが、原因だったんだ。
そばで立っていた仁と、視線が絡み合う。
美弥薇の大切な人。
それをあたしは、美弥薇から遠い存在にしてしまった。
仁をあたしたち稲妻の仲間にしたら、棘とは敵同士になっちゃう。
それが、原因。


