「もう、いい。
そいつに手出すな」
静かに落ち着いた調子で話す。
さっきのタイミングで、美弥薇の手首を掴んで動作を止めたらしい。
見慣れた真っ赤な髪が潮風になびいてる。
「仁!?なんでここにいるの」
びっくりしてるのは美弥薇だけじゃない。
あたしだって。
「おまえを助けに来たんだろ。
そんなこともわからないのか」
助けに、来た?
なぜかそう言われるだけで、安心して泣きそうになった。
「それから、美弥薇を止めに来た」
目の前で絡み合う2人の視線。
美弥薇のことは、仁に任せるのが妥当か。
それよりあたしは早く自由を取り戻さないと。
どうやって逃げるべき?
辺りを見回していると、仁を狙ったのか美弥薇を助けたいのか数人が2人のほうへ向かう。
ただでさえ暗くて見えづらいっていうのに、仁1人で全員相手は美弥薇がいるからたぶん無理。
そんな時に、棒のようなものを持ち出してきて仁のほうへ仕掛けるから。
「仁、危ない!」
あたしは思わず叫んだ。


