「木崎さん、ごめんな。
ちとミスったわ俺」
震える小さな声は、確かにさっき助けてくれた時の声と同じ。
この人、あたしのことを知ってる?
どこで会ったんだっけ。
考え込んだあたしの耳に無意識に波の音が響いた。
そうだ、この人。
波で思い出した。
去年の夏、海に来た時にメアド聞いてきた人だ。
よくよく考えたら、あの時仁も一緒に海に来てた。
別れ際に真っ赤な髪が目に止まって。
えーっと、名前は、
「笹…倉、先輩?」
あたしの問いに横たわったまま頷く。
やっぱりそうなんだ。
でも笹倉先輩って、どこのグループとも関わりなかったんじゃ…?
いや、さっき美弥薇が言ってたか。
仁の代わりに加えた、って。
だから、今棘のメンバーとしてこうして。
ん?おかしくない?
それなら、あたしを逃がすなんてこと普通しないよね?
美弥薇の言う通り、裏切ったってこと?


