これじゃ、逃げ道がつくれない。
恐怖と困惑に溺れたあたしに、襲いかかる凶器。
こうなったら、突っ込むしかない!!
決心して、美弥薇とは反対方向に走り出す。
途中で捕まっちゃうかもしれない。
だけど、ここですんなり捕まるくらいなら少しくらいもがくほうがマシ。
わずかな希望を胸に、突っ込んだ先からすぐに腕を捕らわれてしまう。
「放して!」
必死に暴れて、なんとか自由を取り戻したあたし。
だったけど、人数がいる分またすぐに腕を掴まれる。
「もうっ、放してったら!」
今回も抵抗を試みる。
と、どうやら何かおかしい。
え?なに?
グイッと背後から抱き寄せられて、耳元で小さく声がした。
「真っ直ぐ進めば海に出る。
そこまで走れば誰かが迎えに来てるはずだから」
……誰?


