つい怒鳴るような声が出た。
本当はもっと穏やかに伝えたいのに。
ピタッと足音が止まったかと思うと、背中を向けたままの返答。
「あなたの、そういう性格が大嫌いですわ」
言うまでもなく、憎悪たっぷりな感じの文句に一瞬身震いした。
「私の大切なものは、すべて奪われていく。
最強というこの棘の地位も、唯一大切だと思えた人でさえも」
どんな表情をしているのかわからない。
けど、苦し紛れなことだけはわかった。
「手に入れたかったものすべてを、私から奪ったのはあなた……」
そうして、美弥薇はまた歩き出す。
「あなたが憎い。
殺したくなるほどに、あなたが大嫌いですわ」
ゾクッと、何かがあたしに知らせる。
ここにいちゃいけない。
逃げなきゃ。
慌てて立ち上がって後ずさりすると、美弥薇が改めてこちらを振り返った。
「ここは檻の中。
あなたに逃げ場などありませんわ」
そう報告された時、あたしの周りを知らない人たちが取り囲むように近づいてくる。
きっと、全員棘のメンバーだ。


