静かに語り終えて、今まで合っていた視線をあたしから外す。
話を断ち切って立ち上がろうとする美弥薇。
「ちょっと待って、仁のお姉さんが殺されたって何なの!?」
どこかへ足を運ぼうとする彼女を止めたくて、反射的に腕を掴んだ。
「…痛いですわ」
睨まれて言われて、慌てて手を放す。
ため息を零した後、
「仁に腹を立てたメンバーの1人が刺し殺してしまっただけですわ」
何事もなかったかのような口振りで出来事を告げた美弥薇が、とてつもなく怖かった。
行き場をなくしたあたしの手は、力が抜けてストンと落ちる。
「それ以降、棘はグループ内で争いが起きましたの。
でも仁がいなくなったおかげで、今は平和ですことよ」
立ち去る足音が響く。
綺麗な後ろ姿に、どうしようもなく反論したくなった。
おかしいよ、そんなの。
どうしてそんなに平然としていられるの?
「高原さん、あなたそれでも人間なの!?
それに、仁がいないほうがいいみたいな言い方、もう二度としないで」


