「あぁそれから、まだ教えて差し上げることがありましたわ」
こちらを見て妖艶に微笑むと、再び美弥薇は口を開く。
「なぜ仁があなたを守るのか、知ってますの?」
そんな彼女を、あたしは虚ろなまま見つめていた。
「似ているからですわ。
仁の殺されたお姉様に」
………殺された、お姉様?
「あなたは初めて聞くかとお思いですけれど、事実私と仁は義理の姉弟なんですの」
え?
「いきなり何言って……」
そんな情報、仁と交流が深い歩夢からだって聞かされてない。
恐らく、教えてくれなかったんじゃなくて、歩夢も知らないんだ。
「仁のお姉様は、昨年亡くなられましたわ。
しかも彼の目の前で殺されて」
なに、それ。
どういうことなの。
殺されたって、なんで?
「相当驚いているようですわね。
仕方ないのでしょうけど。
私から教えて差し上げることは、これでおしまいですわ」


