ケンカ上等☆不良校上々↑↑




「だから美弥薇に勧誘されて、居場所をみつけるために棘に入った……みたいなんスけど」




そこには結局、仁の居場所はなかった。


ただ頂点に立つためだけにケンカを繰り返して。

無意味に誰かを傷つけなきゃいけない。



罪悪感と、常に隣り合わせの生活。



「去年の冬、仲間を全員敵に回す覚悟で、仁先輩は美弥薇から離れることにしたって」



それが、きっと太陽が言ってた棘仲間割れ事件ってヤツか。



「俺、棘って名前が出てくるたび、知らない振りしてたけど実際は全部知ってたんス」


歩夢の声が、だんだん震えて小さくなっていく。





「他のグループと……ましてや最強って言われてる敵と繋がりがあるなんて、誰にも言えなくて」



視線を落としてから、歩夢は続ける。



「みくる、今まで騙しててごめん」



俯いてるから表情は見えない。

ただ、謝罪の言葉から、どれだけツラかったのかが伝わってきた。


信頼してる仲間に嘘をつくなんて、簡単にできることじゃないよね。





「けど…っ、仁先輩は、悪い人なんかじゃないんスよ。
俺のことだって……、何回も助けてくれてっ」


それから涙を我慢するように、あたしに訴えかけてくる。


「俺………っ俺、間違ってたのかな」