ケンカ上等☆不良校上々↑↑




「そっスよ。
男なら我慢してください先輩!」




え?


妙な違和感を感じて歩夢を見ると同時。

あたしの手にあった消毒液は歩夢の手の中へ。




「だいたい、何なんスか。
普通にケンカしてれば仁先輩なら負けなかったくせに」


そう。

それはまるで、何かを隠すのをあきらめたみたいに。


いつもより強い口調で訴えてから、手慣れた手つきで消毒を強引にする。



どういうこと?



「はぁー‥」

歩夢がため息をついてから、しばらく無音が訪れた部屋。




この2人、知り合い?




新たに生まれた疑問を胸に、あたしは聞けずに静止した。



だから、手当てが終わってから歩夢に呼ばれて良かったのかもしれない。


誰もいないリビングで向かい合って、知ってることを教えてもらった。




「俺が中学生の時、仁先輩に助けてもらったことがあって。
だから知り合いっス」


これは、さっきまでの歩夢の言葉から予想していたこと。


「だから、みくるが言ってた赤髪の人、って仁先輩かなって思ってたんスけど」


そこで、言いづらそうに口ごもる。


「言わなかったのは、仁先輩が敵だったから……」