まだ外が明るくて良かった。
大通りに出れば、安全は確保できるはず。
「あ、みくる。
できれば裏道通って行きたいんスけど」
大通り目指して前進体勢に入った直後、予想外にも簡単にそれは壊され。
「なんで?
こっちのほうが安全だよ?」
「だからっスよ。
こんなヒドい傷じゃ訝しいだけっス」
「周りから不審に見られる、ってこと?」
聞き直すと、コクンと無言で縦に首を振る。
「わかった。
その代わり、裏道で変な人に絡まれても相手しちゃダメだよ?」
それだけ告げると、歩夢は意外そうな表情をした。
「助け呼べないでしょ?
周りに人いなかったら」
理由を補足すると、今度は優しい笑顔で元気な返答。
「りょーかいっス」
仁をなんとか支えて歩き始めた歩夢の後ろ姿。
こんなこと言ったら失礼かもしれないけど。
あんな小柄なくせに、よく支えながら歩けるよなぁ、なんて。
「あたしも手、貸す」
「助かるっス」
ちょっぴり尊敬。


