ケンカ上等☆不良校上々↑↑




倒れていたとは言え、まだ意識があることを知って、ひと安心。



ほのかな瞳は何かを訴えかけているように見える。

だけど、口を利くことでさえツラそうで。



「何も言わなくていいから」

注意を促すと、素直に口を閉ざした。


あたしは笑みを浮かべて、ふと思い出した言葉を並べる。


「よし、いい子だ」


初めて仁に会った時、言われたセリフ。

今回は、あたしが言う。





「みくるー!
むやみに出て行ったら危ないっスよ」


そんな大声で人の名前を呼ぶほうが、よっぽど危ない気がするけど。

さっきの女の子、あたしのこと知ってそうだし。




「歩夢、運ぶの手伝って」


息を切らして駆け寄ってくる歩夢に焦点を合わせる。


「え?運ぶってどこに?」

「あたしの家」

「あ、はい。……えぇっ!?」


あんまり驚いた言い方をするから。



「家に誰もいないから大丈夫だよ」

「…そっスか」


付け加えると、躊躇いがちにも歩夢は仁の腕を自分の肩に回した。