ケンカ上等☆不良校上々↑↑




場の空気は、充分過ぎるほどに重苦しい。



空の青さが、ここで起こっている状況を際立たせているかのように。


「あ、ちょっ」


障害を避けて路地に差し込む光は、すごく不釣り合いだった。


「みくるっ」


追いかけてくる歩夢の声に答えるだけの余地がない。



仁は?

あの痛々しい傷は?



いてもたってもいられなくて、あたしは物陰の外へ飛び出していく。


視界が開けて辺りを見渡すと、すぐに知ることができた。




「仁っ!」


周囲に散乱するガラスの破片。

遜色な建造物の跡。


いかにも人工的に加えられた破損の数々。




きっと、ここで何かあったんだ。

事情はどうであれ、いい方向でないことだけは確か。



「しっかりして」

しゃがみ込んで、仁の上半身を抱き起こす。


一瞬苦痛そうな表情を浮かべたけど、うっすら開いた瞳があたしに真っ直ぐ向けられた。