車に乗った可能性もあるけど、今ならまだ近くにいるかも。
人通りの少ない道から、大通りへ出る。
雑踏を走り抜けて、時々人にぶつかりそうになった。
どこにいるの?
どうして、あたしを知ってるの?
あなたは誰?
無我夢中で、ただただ追い求める姿を探す。
ダメ。
ここじゃない。
こっちじゃない。
何度か同じ道を往来するうちに、まだ通ってない道があることに気づいた。
昼間だからいいものの、普段あまり使わない道。
人通りなんて全然なくて、安全とは言いがたい。
行くべきか、行かないべきか。
まだ明るいし、大丈夫だよね?
さほど迷わずに決心して、あたしはその場所へと足を踏み入れた。
どんどん騒がしさが遠ざかっていく。
あっという間に静寂に呑み込まれた空間に、ただ独り……


