ケンカ上等☆不良校上々↑↑




どこか遠くを見ていたその女の子は、視線に気づいたのかこちらへ顔を向けた。



……お人形さんみたい。



その綺麗な顔立ちに、つい視線を外せなくなる。


アキちゃんみたいな大和撫子、っていうよりは、童顔で。

どこかのお嬢様みたいな。



考え込んでると、無表情だった彼女は口元に笑みを浮かべる。

それから、ゆっくり、唇だけを動かして、



『き・さ・き・み・く・る』



え?

確かに今、あたしの名前を───



「待って!」



背を向けて立ち去ろうとするのを、引き止めようと声をあげるけど。


「待ってってば!」



立ち止まる気配がない。


考えるより先に体が動いて。

気づいた時にはあたしは外の世界に飛び込んでいた。




息を整えつつ周りを見渡すものの、誰か人がいる気配はない。

あの角を曲がったの?


姿を見失うってことは、どこかで曲がったか周辺の家に入ったかだけだ。