その表情は、あたしの予想が当たってるってことでいいんだよね?



「保健室にね、落ちてたの。
ずっと誰のかわからなくて」



探してた持ち主、やっとわかった。

間違ってない。

この指輪は翼が前から持っていたものだ。



そう、初めてまともに話をしたあの日。



『手、届かねんだろ?』

椅子を出して、あたしに声をかけてくれたあの日。


笑って目に溜まった涙を拭った右手の中指には指輪がはめられてた。




「大切な、ものなんでしょ?」


そう聞いて微笑んでみせても、なぜか心では素直に笑えない。


自分の知らない人の名前が彫られた指輪を、翼が大切にしてると思うと………



もやもやと生まれてくるのは嫉妬の塊。




「大切じゃねぇよ」


だから、そう言われて少し本心から笑えるあたしは自分勝手なのかな。