ケンカ上等☆不良校上々↑↑




「あっ翼先輩、どこ行くんスか」


唯一捉えた歩夢の少し大きめな声。



「屋外」

それだけ言って、部屋を出る翼。



絶対おかしい。



「つばっちゃん、急に声の調子暗くなったわね」


アキちゃんの言葉に、なぜかビクッと体が震えた。

信じたくなかった。

翼の様子が、数分前と違っていたのを。



「翼のとこにも、彩音連絡してないのかなぁ」


芽咲がそう言ったのを合図に、あたしは立ち上がる。



「みくるちゃん」


歩き出す手前、声をかけてきたのは太陽。



「追いかけるのはいいけど、後悔しないでね」


複雑そうな笑顔でそれだけ告げられ、静かに頷いてみせる。



後悔。

行動してからじゃなきゃ、わからない。


だったら、前進あるのみだよね?



「太陽、相変わらず鋭いね」


部屋を出る瞬間、振り返って笑顔を向けると同じく笑顔が返ってきた。


“がんばれ”


音はなく、唇がそう形づくるのと一緒に。