はい、と渡されたグラスを受け取りながら再度尋ねる。
「あー、あれは彩音」
───ガシャン
驚いてないと言えば嘘だ。
だけど、何かを考えるとか、反応したっていうよりは
「ちょっとぉ、みくる大丈夫?」
自然と力が抜けて、受け取ったグラスが手から滑り落ちていた。
「翼先輩、大丈夫っスか?」
それと同時にぼんやり視界に入ったのは、ジュースを飲んでて咽せた翼の姿。
やっぱり何かがある。
あたしは、直感的にそう悟った。
「彩音も一応幼なじみみたいなもんかなぁ。
学年は1つ下だけどね」
幼なじみ。
そうだよね。
写真に残った笑顔は、みんな幼い。
「けどさ〜、中学からは海外行っちゃったし、ずっとオレら会ってなくない?」
「まぁね、そのうち帰ってくるんじゃん?」
真横を素通りしていく芽咲と太陽の会話。
頷くことも応答もできないで、ただ耳から入っては消えるだけ。


