あえて太陽と目を合わせないようにして、繰り返し言う。
「絶対したよね〜?」
そんなあたしに、何度か聞こえる怪しいと訴える声。
「翼は、今幸せ?」
逃げるように、むしろ無視に近い状態で話題を変えた。
「幸せそうに見えんなら、そうなんじゃねぇの?」
「自分のことなのに、ずいぶんテキトーだなぁ」
空を見上げる翼にじっと送る視線。
送ってるつもりじゃないけど、たぶん送られてる。
月明かりと街灯に照らされた横顔が、あまりにも綺麗すぎて。
何を考えるでもなく、視界には翼しか入ってない。
それを察してか、横目であたしを見てから、なぜかため息をつかれた。
あはは………。
さすがに、人の顔見てため息は遠慮してほしいよ。
「何が幸せなのかなんて、わかんねぇじゃん」
「え?」
ため息なんてつくから。
意地悪なことでも言われるのかと思っていたら予想外。


