「ね〜、2人遅〜い」
ここでお礼を言うべきか悩んで黙ってると、前方のずっと先から聞こえてきた拗ねた声。
「すぐ行くから、先にはしゃいどけ」
「え〜、オレ1人で〜?」
相変わらず元気だな、太陽は。
遠目でも、動作からすぐにわかる。
「仕方ねぇなー。
みくる、行くぞ」
え?行くって?
「走れ」
「えっ!?」
モタモタしている間に、翼に手を引かれ走り出す。
そんな、わざわざ走らなくても。
「よ〜しっ。
青春を駆け抜けようぜ〜」
ほらほらほら。
「おまえまで走んじゃねぇ」
届けたい人に届かない翼の叫び声。
ひょっとしたら、実際には届いてるのかもしれないけど。
太陽が、変にテンション上がって走り出しちゃうから。
ただでさえ開いてた距離がさらに開いちゃったじゃん。
「遅〜い」
「太陽、走るの速すぎだよ」
どこにそんな俊足能力秘めてたの?


