今なら、すぐにドキドキに埋もれて窒息死できそう。
死ぬのは好ましい結果じゃないけど。
「いざ、外へー!」
大声と共に昇降口までの廊下を先頭切って突き進むのは、やっぱり太陽で。
あたしは翼と並んでそれに続く。
というか、あたしの歩くペースに翼が合わせてくれてるんだと思う。
「さっきは、ありがと」
太陽と距離が少し開いてから、ぼそっと切り出してみた話。
さっき、話題を変えてくれて助かったから。
お礼くらいは言っておこうかな、って。
あのまま誤魔化せなくなったら、質問責めに遭うとこだったもんね。
「いちいち、そんなことで礼言うなっつの」
「だって、」
「言うなら、毎回俺がおまえの心配してやってんのに対して言えよ」
んー‥まぁ、確かに。
それも一理ある。
けど、なんか恥ずかしくて嫌なんだよね。
心配してくれてありがとう、って言うの。
守られてる、って気がするし、自意識過剰みたいなセリフに感じちゃって。
個人的なわがままみたいなものかもしれないけどさ。


