最悪なことに、あたしの初は仁に奪われてるし。
改めて許せないと思うよ、あの男。
指輪は、大きいから外れないようにチェーンに通して首にかけてるけど。
『失したら代償におまえをもらう』
絶対に指輪は持ってないと。
次会ったときに、何されるかわかんないもん。
「え?つばさ?
ちょ.ちょっと待って。
今なんで、つばっちゃんが出てくんの?」
眉間にシワを寄せて質問されたけど、逆に出てこないの?って聞きたくなった。
だって、翼の話してるんだよね?
あたしたち。
「みくるがキスしたのって、つばっちゃん!?」
驚いたように、真夜中の廊下に響き渡る大きな声。
どうか、みんなには聞こえてませんよーに。
「翼以外に誰がいるの?」
確かアキちゃん知ってるよね?
あたしが翼のこと好きだって。
「あ、いや、誰もいないわよ。
べ.別に、ただ確認しただけに決まってるでしょ!」
「そうなの?」
「そうなのっ」
少し慌てて訂正を入れたように見えたのは、あたしだけ?


