「白石………今なんて?」
ほら、やっぱり。
口調は静かに聞き直してるけど、目が笑ってない。
これ完璧に歩夢の怒りをかったよね。
「うおっ……、鈴野待て」
歩夢は太陽の洋服を引っ張って、目線が自分と同じ高さになるようにする。
なんだか、初めて海風高校行った時を思い出しちゃうな。
あの時の歩夢は、めちゃくちゃキレてて。
普段の性格と、かなりギャップが。
「待て待て待て待て待て待て待て〜」
「待てないっス!」
あたしが思い出していると、大声と一緒に鈍い音が響き渡った。
「いってーーー!!」
頭を抱え込んでうずくまる太陽。
見事に、力強い一撃が頭にヒットしたらしい。
「大丈夫?」
「あ〜‥オレまたバカになった〜」
苦笑しながら駆け寄ると、痛みのある場所をさすりつつ、太陽は顔をあげる。


