うーん……。
それって、開き直ってる、って言うんじゃ。
「だったら聞くけど、白石は怖いものないんスか?」
「オレは〜‥」
何か思い当たる節があるのかな。
一瞬だけ顔が歪んだような。
「それより早く返せっ」
話を変えて、歩夢の手からひょいと袋を奪う。
「あ、ちょっ‥早く、って、さっき渡そうとした時、受け取らなかったの白石っスよ」
隙をつかれて奪われたのが気にくわないのか、座ったまま手を伸ばして取り返そうとする。
「これ、オレのだし〜」
相当バカにしたような言い方。
たとえ立ち上がっても、身長差で歩夢が太陽の手に届かないのは見え透いてるわけだし。
可哀想に、歩夢。
「これだから翼に“チビ”って言われるんだよ〜」
「ちょっと太陽、それは───」
入り口付近から様子を見ていたあたしだったけど、歩夢の肩がビクッとなったのがわかった。
さすがに、思ってても口に出しちゃいけないことの判断くらいしなきゃ。


