ケンカ上等☆不良校上々↑↑




歩く度、自分の足音が響き渡る。


なんだか、廊下さえも広すぎて怖い。

まだ慣れないこの家は、例えるなら、まさに巨大迷路。




これほどまでに、広い家が嫌だと思ったのは初めてかもしれない。


狭い家で暮らすほうが、なんだか孤独を感じない気がして、あたしには合ってるし。








────ガチャ




ふと、数歩先で開かれた1つの扉。




部屋から出てきた人は、あたしには気づかず、どこかへ向かうみたいだ。


あまり身長は高くない。

小柄で、髪は黒くて。





「歩夢?」

「───っ!」



その背中に声をかけると、驚いた顔をして振り返る。


「はぁー‥なんだ、みくるか」


それから、あたしだって認識したのか、安心したようにため息をついた。




歩夢の手には、ケータイと何かを入れた小さめの袋。


これから、どこかへ行くのかな?