「じゃあ、そーゆーことで。
みくる専用の部屋はこっちねー」
「え、ちょっと、芽咲」
断る理由を考えて数分後、芽咲が話をどんどん進めてっちゃって。
あたしの話なんて全く耳に入ってないみたい。
腕を引っ張られて、呆気なく1つの部屋に押し込まれた。
「荷物は、もう置いてあるから」
そう言って指差す先には、確かに見慣れたあたしの持ち物たち。
「なんで荷物があるの?」
「みくるのママさんに伝えたら、すぐに用意してくれたよ。
私気に入られてるのかなぁ?」
そうだった。
事実、あたしの母親は芽咲のことを気に入ってて。
「みくるが寝てる間に、もう夜になっちゃったし、あとは各自自由ってことで。
おやすみぃー」
「ちょっと待って、芽咲!!」
呼びかけに虚しく、扉の閉まる音が応える。
結局、芽咲のペースに持っていかれると反抗できなくなるんだ。
そういう意味では、マイペースな太陽と似てる気が………。
何にせよ、荷物がここに持ってこられちゃった以上帰るわけにもいかないし。


