拗ねた表情を一瞬見せてから、すぐに泣き出しそうな顔に変わる。
「すっごく心配したんだからね」
「ごめん」
あたしは、ただ謝ることしかできない。
それを聞いた芽咲は、今度は未だ床に座るアキちゃんに視線を向けた。
ソファーから身を乗り出して、拗ねながら。
「アキもアキだよー。
いきなり電話してきたと思えば、助けて、ってどーいうことよぉ?」
それこそ、今にもアキちゃんに飛びかかりそうな勢い。
「あの時はピンチだったんだから、仕方ないじゃない」
「に、しても、なんで歩夢が怪我するかなぁー。
ケンカで怪我なんて、めったにしないのに」
さっきから、2人の間で繰り広げられる知らない話。
できれば、その辺の話も説明してほしいんだけど。
「それよりさ、みくる!
翼と何があったのーっ?」
思い出したように、芽咲は再びあたしを見てくる。
瞳が、いつにもましてキラキラと光ってますけど?
「何もなかったなんて言わせないよ?
みくるをお姫様だっこで運んできた翼を見た時は、ほんっとーにびっくりしたんだからぁ」


