近くで聞こえる優しい声に、今日1番きっと安心してる。
けどね、翼?
これじゃ、いけないんだよ?
「ダメ。ダメだよ、」
これ以上優しくしないで。
近づいちゃダメ。
あたしは、もっともっと翼を好きになる。
そんなのは、嫌だから。
自分の気持ちを抑えきれなくなって、大好きな人の幸せまで壊しちゃう。
それだけは嫌なの。
両手で押し返そうと力を入れると、それに気づいたのか翼から離れていった。
「ごめん、なさい。
あたし………」
言葉が続かない。
ただ俯いて涙を拭うだけ。
「どうしてみくるが謝んだよ」
「ごめん」
「謝んなって」
困ったような笑みを浮かべて、あたしを見る。
その真っ直ぐ向けられた瞳に、今にも吸い込まれそうで怖かった。


