別に変なことじゃないのに。


アキちゃんの好きな人は翼だと思ってたし。

翼が優しいことくらい知ってた。


もし翼が、アキちゃんを慰めてたって、アキちゃんを好きになったって。


あたしは何かを言える立場じゃない。





悔しいけど、あたしは翼にとって、ただの友達でしかないから。





数歩下がったところで、不意に目が合う。


あたしが見すぎてたせいか、ただこっちを見ただけなのか。


わからないけど、翼と確実に視線が絡んだ。


反射的に体がくるりと回る。




「───みくる!」



名前を呼ばれたけど、それに反応する余裕すらない。



胸が苦しくて。

痛くて。

どうしようもない感情でいっぱいになって。



2人をこれ以上見ないように、走って距離を取る。





できるだけ早く、ここから遠くに行きたかった。