「はい、氷」
結局あたしの手に氷が渡ったのは、保健室に来てから数十分後。
その数十分間に痛みは、ほとんど治まっちゃった。
でもせっかく渡してくれたんだから、受け取らないとね。
「ありがと」
「冷たすぎない?」
「ちょうどいいよ」
「なら良かった〜」
久々に見た気がした、太陽のえくぼ。
芽咲が惚れたのも、この笑顔のせいなのかな。
「あ、」
ちょこんと、目の前でしゃがみ込む。
「どうしたの?」
床に何かを見つけたみたいで、それをあたしに差し出してきた。
「これ、みくるちゃんの〜?」
手のひらに乗っかったそれは、光を反射してキラキラする指輪。
「ううん。
太陽のじゃないの?」
「ちがーう」
「見せて?」
受け取ってよく見ると、内側に何か文字が刻まれてた。


