たった一言。
そのたった一言が、余計にアキちゃんの恐さを倍増させる。
「ごめんね?
怒ってる、よね」
恐る恐るなあたしを見てか、隣に腰掛けた芽咲もあとに続く。
「私が今日お泊まりしようって、誘っちゃったから。
だから、みくる遅れちゃったの」
そんなあたしたちを見て、再びため息を零した。
その頬杖をついた姿からは、もう黒いオーラはなくなって。
「お昼奢ってくれたら許す。
デザート付きで」
珍しく、ニコッと笑ったアキちゃん。
「一緒に食べなさいよね。
せっかくアキが誘ってあげてるんだから」
上から目線は相変わらずだけど。
アキちゃんの機嫌が悪くないことが、わかると今度は芽咲が喋り出した。
「私、海風高校1年の後藤芽咲。
芽咲って呼んで」
手を差し出す芽咲に対して、アキちゃんはキョトンとしてる。


