「…なんでもない…」
由絵はあきらめたように言った。
…どういうこと?
意味わかんないし。
好きな人の名前聞いただけだし…
こんな由絵、はじめて…
「ちょっと、1人にさせて。」
そう言うと、由絵はどこかに行ってしまった。
(由絵いなくなっちゃったし、することない…)
あたりをみわたして見ても、皆、グループになっていて、とうてい入れそうにないし、寝る…って言ったって眠くないし、読書…って言ったって本なんか持ってきてないし。
…………
「……家帰ろ。」
あたしは筆箱と携帯だけ鞄に入れると、教室から出た。
先生とすれ違う度、鞄を隠した。
下駄箱から校門までは一気に走ったほうがいいよね…
「もしもーし?」
ビクッ
恐る恐る振り返ると、野田がいた。
「…野田ぁ…」
