「あッ!!本当だぁ、あと3分!?宿題やってない!!今日あたし当たるよぉ~…」

「わかった、わかった。写す?」

「ありがと、由絵!!愛してる!!」

ノートをすばやく借り、とにかく写した。
(こういう日常だけが残れば、一番普通だよなぁ~…)

「ちょっとぉ~?奈央、手、止まってるし!!」

「ごめん、ごめん;;…あと少し…」




キーン…コーン…




「ああああッ!!どーしよッどーしよぉ~…」

「奈央が当たるの、最初の問題だから大丈夫だよッ!!」

「え、でも集めたりしないかなぁ…」

「授業中にやっとけッ!!」




ガラッ




「あ、来たッ!!じゃあまたねッ!!」

「え、え、またねッ!?」

授業中にやれと言われても…
実はあたし、頭悪くていつも写させてもらってんだよね…
…言えないけど…



とりあえず、授業中は恥かかないで済んだけど…
終わってないから、明日、先生に名前呼ばれるかもなぁ…



バサッ



「…え…」



後ろを振り返ると、ノートが床に落ちていた。

その目線を上に向けると、


──野田俊─…


すると、落としたであろう野田俊が、「拾え」の合図をした。
最初イラッときたけど、拾って渡そうとしたら、「それを開け」の合図。
なんとなく、今日の宿題のページを開いて、渡そうとしたら、「前を向け」の合図。

…え…見てもいいって事…!?
いや、でもそういう事じゃなかったら、なんて言われるか…

「………あ。」

思いつき、自分のノートの端をちぎると、
『どぅぃぅ事?』
と書いて、投げた。