彼は…彼女は…


「隼人ー?」



「ん?えっと、なんだっけ?」




今自分と相席している女達の所為で、話の内容を忘れてしまったのだ。 



「だーかーら!あたし帰るね!」



「なんで?」



「だって、そこにいる子達みたいな子に2人で会ったら、隼人ダメでしょ?」



「鈴は帰りたいの?」



鈴の言い方に、少しムカついた。 




「いや、別に……。隼人が……。」




「鈴は家大丈夫なの?プレゼント初めてなんでしょ?」




鈴は、先程の失言に今更気づいた。



「じゃ。帰るね!バイバイ!」



ピッ



聞かれたくない話題なのか、すぐに電話を切られた。 




「鈴!!」




ドーナツ屋の外を見回すと、彼女は出入口の方に向かって、走っていた。 




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